高血圧

血圧は多くの患者さんが治療を受けていますが、治療においては過度な降圧が問題を引き起こすことがあります。WHOの基準に従うと、過度な降圧により低血圧や脳血流量の低下が生じ、脳梗塞や脳血管性認知症、虚血性心疾患などのリスクが増加することがあります。特に、降圧剤の効果が現れるのには数時間かかるため、午前中に診察を受け、その時点で測定した血圧に基づいて投薬を行うことが多いですが、これが過剰な降圧を引き起こす原因となる場合があります。
一方で、放置すると非常に危険な高血圧の一つに、早朝高血圧があります。この疾患は夜間に血圧が十分に下がらない「non-dipper type」として知られており、虚血性心疾患や脳血管障害のリスクが高いため、早急な降圧治療が求められます。
また、白衣高血圧や日中の緊張による血圧上昇も多く見られます。このような場合には、交感神経の緊張を和らげる作用のあるβブロッカーや穏やかな安定剤を併用することが有効となることがあります。
そのため、高血圧の治療では漠然と降圧剤を投与するのではなく、患者さん一人一人の血圧の日内変動や生活習慣を考慮した個別化された治療が必要です。適切な診断と治療方針が重要となります。
糖尿病

糖尿病には1型と2型があり、特に2型糖尿病は生活習慣病として問題となります。1型糖尿病ではインシュリン投与が必須ですが、2型糖尿病の場合、食事や運動などの生活習慣の改善が重要な治療法となります。
日本老年医学会が30年以上前から警告しているように、年齢が進むにつれて食後高血糖が増加し、糖尿病の発見が遅れるという重大な問題が生じています。特に中高年期以降では、空腹時血糖が正常で無症状であっても、食後血糖値が250を超える場合もあり、この場合、糖尿病が進行している可能性が高いです。食後高血糖は糖尿病の重要な指標であり、その発見には空腹時血糖値だけでなく、食後の血糖値も含めた日内変動の測定が欠かせません。
また、糖尿病の血糖コントロール指標としてよく使用されるのがHbA1cですが、食後高血糖の早期発見には1,5-AG(グリコアルブミン)などが有効な場合もあります。糖尿病専門外来では、発症初期からインシュリン投与が行われることがありますが、インシュリンはあくまで血糖値を下げる薬剤であり、糖尿病そのものの治療薬ではありません。生活習慣を改善せずにインシュリンに頼り続けることは、自然治癒力を妨げる可能性があり、低血糖などの副作用も問題となります。実際、インシュリン投与によって糖尿病が治癒したケースは少なく、透析導入へと進展するケースも見受けられます。
さらに、交感神経が緊張しているとインシュリン分泌が低下するため、リラクセーションが重要です。当クリニックでは、保険適用の投薬とリラクセーションを組み合わせ、生活習慣の改善をアドバイスしながら総合的に治療を行っています。特に飲酒嗜好がない患者さんでは、HbA1cが10を超えていても、6カ月程度で正常値に改善することが可能なケースが多く見られます。
脂質異常症

コレステロールが高値だと危険だということで、早期から投薬治療が行われることが多いですが、当クリニックでは、基本的に、高血圧や糖尿病に罹患していなければ、中等度のコレステロール、中性脂肪上昇は経過観察としています。
欧米の超肥満型の家族性高脂血症では、若年時から総コレステロール値が極めて高い数値となり、冠状動脈の血栓を起こす危険が高いため、投薬治療が必須と言えます。
ところが、日本では、こういうケースは稀で、多くは高血圧や糖尿病などで動脈硬化が進行して、血管が脆弱になって炎症性の機序によってコレステロールが沈着するアテローム硬化が多いため、高血圧、糖尿病の治療を優先すべきと考えています。もっとも、中性脂肪の高値が持続していると,経過中、糖尿病や非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や脂肪性肝疾患(NASH)の合併率が高くなるため、食後血糖値の測定や腹部エコー検査を施行して、疾病の早期発見に努めています。
欧米の超肥満型の家族性高脂血症では、若年時から総コレステロール値が極めて高い数値となり、冠状動脈の血栓を起こす危険が高いため、投薬治療が必須と言えます。
ところが、日本では、こういうケースは稀で、多くは高血圧や糖尿病などで動脈硬化が進行して、血管が脆弱になって炎症性の機序によってコレステロールが沈着するアテローム硬化が多いため、高血圧、糖尿病の治療を優先すべきと考えています。もっとも、中性脂肪の高値が持続していると,経過中、糖尿病や非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や脂肪性肝疾患(NASH)の合併率が高くなるため、食後血糖値の測定や腹部エコー検査を施行して、疾病の早期発見に努めています。