心療内科とは

心身症

メンタル疾患

心療内科での治療の基本
心身症への取り組み
心身症の治療においては、身体的症状だけでなく、その背景にある心理的・社会的要因にもしっかりとアプローチすることが重要です。たとえば、動悸が主訴の場合、単にパニック障害と断定するのではなく、心電図検査を行い、上室性発作性頻脈やWPW症候群などの不整脈の有無を確認することが大切です。下痢が続く場合も、消化器系の疾患を除外診断し、適切な治療を行います。過敏性大腸症候群として治療されていた患者さんが、実は潰瘍性大腸炎だったケースも少なくありません。また、食欲不振や倦怠感があれば、うつ病を前提にするのではなく、感染症や膠原病、悪性腫瘍などの内科系疾患を除外し、正確な診断を行います。
当クリニックでは、これらの心身症に関して、器質的疾患や機能性疾患の両面からの診断と治療を行っております。特に心身症では交感神経の過緊張状態が多いため、身体的な治療に加えて、抗不安剤や自律訓練法など、リラクセーションを促す心理療法も併用しています。
さらに、心身症では「失感情症」や「失体感症」が伴うことが多いため、これらの症状に対する治療も重要です。失感情症(アレキシサイミア)は、自分の感情に対する認識が乏しく、感情を抑え込んで他人事のように振る舞うことで、極度の不安や抑うつ感を引き起こすことがあります。失体感症(アレキソソミア)は、身体の症状に対する正常な反応が失われ、過緊張状態から身体的な不調が現れる状態です。これらの状態に対しては、気付きや自覚を促す治療が必要です。
当クリニックでは、認知療法や認知行動療法、カウンセリング、日記療法などを組み合わせ、患者さんの気づきや自覚を促進し、心身のバランスを回復することを目指しています。
メンタル疾患への取り組み
心身症の診断と治療においては、患者さんの本来の性格や家族歴、成育歴といった心理的社会因子が重要な役割を果たします。そのため、詳細な問診や適切な心理テストを通じて、原因をしっかりと探り、適切な投薬治療とともに、生活環境の改善を含めた総合的なアプローチが必要です。
当クリニックでは、簡単な操作から高度で複雑なものまで、さまざまな心理テストを組み合わせて治療に役立てています。これにより、患者さんの状態に応じた最適な治療計画を立て、問題解決に向けた支援を行っています。特に、認知療法や認知行動療法を適切に活用し、患者さんが自らの問題を明確にし、解決策を見出せるようサポートしています。
・不安症状について
不安症状そのものは決して病的な症状ではありませんが、日常生活に支障をきたすような不安は、精神症状としての対応が必要となることがあります。
この不安には前頭葉レベルで感じる比較的軽度の健全な不安から生命新チアの安全を脅かせられるような恐怖心に近いような大脳辺縁系レベルで感じる本能的な病的不安まで様々であると思われます。
健全な不安とは、テストや面接前や多人数の前で発表する前などに感じる緊張感で、リラクセーションの工夫などで軽減することが期待できます。投薬治療であれば作用の弱い抗不安薬(マイナートランキライザー)で、十分対応できるでしょう。
一方で、本能的な不安であれば、本人がバカげている現実的でないと認識していても否定しがたい不安、恐怖心に襲われることがあります。単なる言葉がけやリラクセーションなどでは症状の改善が期待できず、受容的で安心感を与えるアプローチとともに抗精神病薬(メジャートランキライザー)が必要となることもあります。
不安発作やパニック発作、対人恐怖や乗り物に乗れないなどの症状では、不安階層表などで不安の起こる場面程度を振り返り、自律訓練法を応用したイメージ療法や脱感作療法を行っています。また、広範な行動抑制を伴う不安症状に対しては、日記療法を取り入れた外来森田療法を行い、心身のリラックスを促進しています。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)、に対しては、不安発作、パニック発作と同様のアプローチを行っていますが、最近、メマンチンがフラッシュバックに著効するというデータが数多く発表されていることより、患者さんへ説明のうえ了承を得て投与を行い、極めて良好な経過を得ています。
また、最近は精神疾患全般への生物学的観点からの報告が増えており、遺伝的要因や内分泌的要因、神経伝達物質など多方面からの研究が行われています。
例えば、腸脳相関という用語がありますが、実際コレシストキニンという物質の作用が注目されています。コレシストキニンは消化管の機能に関与しており、胆のう収縮、胆汁分泌を助けていますが、これを静注するとほぼ全例で不安症状、パニック発作を誘発したという論文が出ています。
また、周空気中の酸素濃度低下により不安症状が惹起されることが知られています。一般的に空気中の酸素は!9%前後とされていますが、多人数の密集した部屋で酸素濃度がほんの僅か1%未満の低下でも不安症状を訴える人もいます。このため、電車、バスなどの乗車中や映画館。美容室、地下街ではパニック発作を起こすリスクが高まることがあります。カフェインも不安症状を誘発することがありますが、とりわけコーヒーのカフェインは作用が大きいため、パニック障害の方はコーヒーを飲むのを控えるがいいと思われます。
・うつ症状について
製剤などの新型抗うつ剤発売に合わせるように「新型うつ病」夏概念が広まり、「うつは心の風邪」とテレビのコマーシャルで紹介され、うつ病が一般の風邪症状みたいに安直に扱わ
うつ病患者は10人に一人などと宣伝されたこともあり、うつ病患者が激増しているような誤解が起こっています。
実際のところ、統合失調症、双極性障害などの精神疾患領域のうつ病は1%前後の罹患率で大きな変化はないと思われます。
一方で、元来の性格や環境とのミスマッチなどの社会的要因によるうつ症状を伴う患者数は増えていると思われますが、これは心因性うつ病で本来のうつ病とは区別するべきもと思われます。精神疾患としてのうつ病は安静とともに抗うつ剤、場合によっては抗精神病薬(メジャートランキライザー)による治療が必要となりますが、心因性うつ病ではリラクセーション、環境調整、必要最小限の抗不安薬(マイナートランキライザー)、カウンセリングなどで症状の軽減が期待できると思われます。
うつ症状は、食欲低下、倦怠感、睡眠障害、気力低下、憂うつなど様々ですが、症状に応じた対応が必要となります。
うつ症状のある人へ一律にうつ病と決めつけ、抗うつ剤を投与するのはとてもリスクのある行為かと思われます。
SSRI製剤などの新型抗うつ薬は、セロトニン系へ働きかけ一時的に気力が出てくることがありますが、賦活作用(アクチベーション)により自傷他害など症状の悪化をきたすことがあります。うつ症状の根底には不安症状を抱えていることが多く、無理にやる気を起こすのはなく不安を軽減するアプローチが必要といえます。
*向精神薬の使用については賛否がありますが、症例によっては薬物治療が非常に有効です。例えば、不安や恐怖感を和らげるための抗不安薬は、てんかん治療で抗痙攣薬が効果的であるように、心身のバランスを整えるために必要です。ですが、ベンゾジアゼピン系薬剤は依存のリスクが伴うため、当クリニックでは、原則として、著しい不安焦燥感がない場合には、夜間に1回投与し、不安時の頓服に限定しています。
注意!!
大人の発達障害、社交不安障害などについて
近年、大人の発達障害や社交不安障害という言葉をよく耳にするようになりましたが、安易な診断と治療が行われ、逆に症状が悪化しているケースも見受けられます。 例えば、職場でミスをした中間管理職の方が「大人の発達障害かも」「社交不安障害かもしれない」と言われ、気になって専門機関を受診し、発達障害や社交不安障害と診断され、投薬治療を受けることがあります。その結果、自信を失い、長期間社会復帰ができなくなることもあります。多くの場合、これらの症状は不安や緊張が原因であることが多いにもかかわらず、誤って発達障害や社交不安障害として診断されてしまうことがあります。 メンタル疾患においては、医原病(医療による問題)が発生することも多いため、診断には慎重を期す必要があります。例えば、WAIS(ウェクスラー成人知能検査)で状態把握が高く動作性が低い場合など、発達障害と即決せず、個別の症状に合った適切な対応をアドバイスすることが理にかなっています。 当クリニックでは、メンタル疾患の診断において、詳細な問診や心理テストに基づき、病名診断は極めて慎重に行い、患者さん一人ひとりに最適な対応を心がけています。
当院では臨床心理士、公認心理師の資格をもった心理職がカウンセリング、認知行動療法、森田療法、自律訓練法などの心理療法を行っております。
カウンセリング料金:30分2000円~
心理テストは、保険適用のある心理テストを中心に行っていますが、心理職が、レポート作成するための諸費用として、簡易操作、複雑操作、極複雑操作の心理テストに応じて別途料金を設定しています。
簡易操作(HDS-R、MMSE、KKSI,CAS,CAARS,PARS-TR、PRS,AQ、A-ASD、A-ADHD、レイトン等):1000円
複雑操作(YG、TEG、バウム):2000円~
極複雑操作(ロールシャッハ、WAIS、WISC等):4000円~
自律神経失調症

心療内科に関連して「自律神経失調症」という言葉が取り上げられることがありますが、実際にはその概念が正確に理解されていない場合が多いようです。日本では、精神的な症状に対する偏見が根強く、不安や抑うつの気分があっても精神神経科を受診することに躊躇する傾向があります。そのため、診断書を発行する際、便宜上「自律神経失調症」という診断名が使用されることが多くなり、真の自律神経失調症とは異なる状況が生まれています。 実際の自律神経失調症は単一の疾患ではなく、様々な身体的、精神的な症状が組み合わさった状態に対して使われる一連の疾患概念です。具体的には、糖尿病の合併症やアミロイドーシス、Shy-Drager症候群といった限られた疾患で、これらでは血圧の急激な低下や発汗異常、胃内停滞など顕著な症状が見られます。 一方で、一般的に広まっている自律神経失調症は、過労やストレスによる不定愁訴が伴う状態であり、必ずしも自律神経の機能不全とは言えません。自律神経機能の調整がうまくいっていない、あるいは多様な不定愁訴を呈する点で、不定愁訴症候群や身体表現性障害に似た心身症に分類されることが多いです。 当クリニックでは、患者さんの自律神経機能を評価するため、問診や心理検査(CMI)、起立性調節障害起立性低血圧の検査(Shellong test)、心電計によるRR間隔の測定(保険適用可)やボディチェッカー(保険適用外、2000円税込)を行い、自律神経機能の調整能力を判定します。これにより、器質的疾患と機能性疾患の関与を見極め、適切な治療を提供しています。 また、自律神経機能の低下が確認された患者さんには、スーパーライザーを用いた星状神経節ブロック(保険適用外、2000円税込)を実施し、良好な治療成績を得ています。




